2005年11月16日

共通?

すでに話題は下火になったと思いますが。
検証しながら読むのは非常に疲れますね。。。

歴史は本来世界の財産ではないのでしょうか 『未来をひらく歴史
  ‐東アジア3国の近現代史』


日中韓3国共通歴史教材委員会 (著)

 高文研



ここから先は元気があったら読んでみるくらいでいいです。
今までで一番長いレビューです。

日本版は値段が高いょ……


左が中国版。右が日本版。




韓国版



これが韓国版。





日本、中国、韓国の研究者・教師らが歴史認識の共有をめざして3年間・10回の国際会議を重ね、共同編集した近現代史の入門書が『未来をひらく歴史』。だそうです。
もうここでちょっと!と思う。
現在までどのくらいの時間、歴史認識でもめてるの?
たった3年間、しかも10回だけの会議で歴史副教材できちゃた?

冒頭の「読者のみなさんへ」には「3国の近現代史をもれなく扱った本なので、時にはむずかしかったり、理解できない部分があるかもしれません。それでもがっかりしないでください。」とある。
近現代史をもれなく扱った本がこんなに薄くていいの?
目次だけ見ても3国の戦争史ということは明らか。
しかも日本帝国主義vs中韓。
これで「もれなく」?

「あとがき」には「対等・平等の原則を前提に、お互いの立場を尊重しながら、ねばり強い議論を通じて意見を調整し、同じ内容の本を3国の言葉で同時に発刊することにこぎつけました」との記述がある。
同じ内容?

最初に断っておくと、私は扶桑社の『新しい歴史教科書』を支持していません。
なぜなら、まだ読んでないし^^;
しかも様々な評論を見ると、認識の問題に疑問が残るので。

**
ページをぱらぱらめくっていくうち、第4章第2節1「東アジアの冷戦と朝鮮戦争」の項目(188ページ)=写真4=に異様な記述があるのに気づいた。

 「北朝鮮の人民軍が半島南部の解放をめざして南下をはじめたのです」

 朝鮮戦争は「半島南部の解放」のための戦争であった、と書いているのだ。旧態依然たる共産党史観というべきか、B・カミングス教授らに影響を受けた“修正主義史観”というべきか。
 他の歴史教科書や概説書と比べても、北朝鮮や中国ではいざ知らず、日本や韓国の常識ではバランスを逸した歴史記述であることはいうまでもない。もし、この共通副教材が「国定」「検定」教科書であったら、この部分には必ず「修正意見」がつくに違いない。
 巻末の「本書を作った各国委員会委員・協力執筆者」の日本側名簿を見ると、中心メンバーは大日方純夫・早稲田大学教授、笠原十九司・都留文科大学教授、俵義文・子どもと教科書全国ネット21事務局長、といった人々である。「半島南部の解放」戦争という朝鮮戦争観は、この教材作りに参画した日本側執筆者のホンネなんだろうな、と思わざるを得ない。

(毎日新聞より)

**

これと同じ部分は中国版には記述がみられない。
つまり、中国側は北朝鮮に対する配慮ということなのだろう。

さらにこのページにある図を見てみると(クリックで拡大)
日本版  中国版
日本版の図            中国版の図

日本版の図には各軍の進行過程の矢印が記入されている。
しかし、中国版には矢印が全く見られない。
しかもよく見ると日韓の国交正常化交渉の開始時期にズレがあるのに加え、台湾との日台条約に関して、本文での記載はあるものの図中には点線のみで、一切の記載がない。
本文での記載があるにはあるのだが、””で囲まれており、その時期の記載はない。
やはり、日本と台湾が独自に結んだ条約は気に食わないのだろう。

残念ながら韓国版は読めないので、自分で検証しながら読むことができていない。
上記で引用した毎日新聞の記事を参考にするしかなかったが、日本と中国の2冊の比較においても、お粗末さがその他随所に見られる。

さらに、毎日新聞の記事を紹介すると
**
では、鳴り物入りで出版された「未来をひらく歴史」3カ国版が、どうして前述(18〜20回参照)のようなお粗末な記述になってしまったのか?

 その理由を推測するには、ほかならぬ日本側執筆の中心メンバーのひとりである大日方純夫・早稲田大学教授が、ハンギョレ新聞(5月15日)の共同インタビューで答えた内容が参考になるだろう。

 「日本ではかなり前から東アジアの歴史教育について研究と討論を重ねている研究グループがあります。特に研究者・教師集団の中で、多様なグループが日韓間の経験や研究を交流しています。この中で一部は、これまでの成果を整理する作業を進めています」

 「したがって、そのような(専門的な)試みの観点から見れば、今回の共同教材の出版については、いろいろ未熟な点や問題点を指摘できるでしょう。拙速だという批判もあるかもしれません」

 「しかし、2005年春に、どのようにしても(共同教材を)出版するということ、このために全力を尽くすこと、これが私たちの合意事項でした。ここには3カ国の歴史教育をめぐるきわめて高い実践的な課題があります(後略)」

 ここで大日方教授が認めているのは、とにかく「2005年春に出版することが実践的な課題だった」ということである。分かりやすくいえば、2005年の歴史教育界で焦点になっていた「新しい歴史教科書・改訂版」の検定・採択に対抗することが先決だったということだ。だから「拙速」との批判もいとわず、3カ国共同の「産物」として、出版を急いだということなのである。

(毎日新聞より)


第18回 日中韓副教材への疑問(その1)
第19回 日中韓副教材への疑問(その2)
第20回 日中韓副教材への疑問(その3)
第21回 日中韓副教材への疑問(その4)

**

出版を急ぐからという理由で、いい加減でいいのか?
歴史認識が重要問題ではないのか?
あまりにお粗末だ。


日本版の巻末の執筆分担を見るとわかることなのだが
日本が、中国、韓国の国内での戦争に関してはそのほとんどを中韓が担当している。そちらの資料に基づいた記述しか見られない。多くの学者の間で不確定なものとして扱われている歴史的事実についても、さも確定事実というような記述が目立つ。

さらに、日本の靖国神社にもふれ、反対の立場を強く出している。
日本国内でも賛否両論ではないのだろうか?
本書の内容全体からしても、日本が悪いことをした。日本が全ての元凶であるという印象を読者に与える。

正しい歴史認識を標榜するなら、少なくとも3国の資料を突き合せ、3国の批判を載せるべきではないのだろうか。
日本・中国・韓国それぞれの歴史認識のどこが一致していないのかを明らかにするべきである。
これは教科書ではない。歴史副教材である。
本来、意見のまとまりがなければ使えないという理論が必要ないものである。
子供達に一方の考えだけを刷り込むようなことは危険。
偏った認識では、物事を多角的に自由に分析する自由を奪いかねない。

更に言えば、東アジアの近現代史は西洋列強が形成した国際関係が生み出した構図の中にあったという考えが欠如している。

これは私の大学のゼミでもやっていることなので、説明するにはすっごく長くなるので、小学生まで読めるように編纂してあるこの本に載せるかどうかという話になると・・・・・・



視点をここで変えて

本書が中韓の資料中心で書かれたものであるのならば、中国や韓国でどのような歴史認識を持ち、どの程度の資料を使っているかを知るのに良い材料となる。

つまり、本書を主要な副教材として使うならば、同等の位置づけで対抗する教材を使うということならとても面白い資料となるわけです。


他の参考サイトとして
韓・中・日共同歴史副教材『未来をひらく歴史』が生まれる!

疲れました。。。
ちょっと休憩に↓

マイナスイオ〜ン
posted by シャンヂョン | Comment(4) | TrackBack(1) | 読書
この記事へのコメント
シャンチョンさん、お疲れ様でした。
私は実物を見ていないのですが、シャンチョンさんのこの記事を読んだだけでもうんざり。。。

なんか、世界各国が集まるような主要な会合などでも、中国一国の意志があたかも『アジア全域の意志』のように語られているような気がする(私だけ?)今日この頃……中国の文化は好きなんだけど、主義・思想の押し付けがましさだけは、時折思わず目を背けたくなるような意地汚さを感じてしまいます。

中国ゆえに大陸的(?)だからなのかどうなのか、「言った者勝ち」・「強い方が勝ち」って、政府を筆頭としてそういったレベルで発言しているような気がしてならなかったり。
(もちろん、そんなことない人もいるとは思います。)

本当の意味で対等な国交を持つためには、三国がそれぞれ本音で意見を言えるようになる必要がありますよね。

…でも、今の日本人にはその素地となる『近現代史』の教育が疎かになっている、という課題もあるとは思っていますが…。
Posted by nie at 2005年11月17日 15:37
>nieさん
ありがとうございます。
やはり、アジア地域というのが中国が主体という姿勢は感じられますよね。

「言ったもの勝ち」「説き伏せたほうが勝ち」といった風習?は中国の特徴というよりも中国の昔からの性格ですから・・・・・・
中国のタクシーの運転手とも論争合戦をやったりしてました^^;

多種多様な意見が交換できることは必要ですね。単純に批判ばかりせずに考えるという風土がアジア地域に育ってくれるといいのですね。

『近現代史』の教育は、後回しの状態も何とかしたいですよね。本当に!
Posted by シャンチョン at 2005年11月19日 08:32
しばらく見てない間に、いいネタ扱ってるやん。ww 検証ご苦労様です!

この本はいつ頃か忘れたけど、前期に西村先生が紹介してました。3カ国合同で作ったと聞いた時点で「あぁ〜あ、やってもた」と思った。だって、「中韓と一緒に歴史の本を作る」となると「中韓の意向に従う」でないと仕上がるわけないもん。ww

で、案の定、中身をパラ見してがっかり。kyoちゃんもご指摘の通り、戦争の記述はほとんど中韓が担当してる。内容も完全にいわゆる「自虐史観」やった。改めて読む価値は見出せなかった。


どっかで(外相当時の)町村さんがこんな感じのことを言った。「なぜ日本では近代以降の歴史に時間を割かないか。それは近現代の出来事、特に戦争に関する部分は教師の個人的な思想が絡むからだ」と。

一理ある。日教組だらけの今の日本で、近現代史を重視したりなんかしたら、今より左翼が溢れかえってしまう、かも…。
Posted by ごい at 2005年11月25日 23:10
>ごい
近現代以降の歴史は
出来れば西洋の先生に参加してもらうと
すっごくおもしろい授業になりそうやなーと思うんよ。
例えばAETの先生とかに世界史の近現代部分の授業になったら一緒に授業に出てもらうとかね。
Posted by シャンチョン at 2005年11月26日 00:28
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内容は同じじゃないようで…
Excerpt: 第18回 日中韓副教材への疑問 その1 第19回 日中韓副教材への疑問(その2) 第20回 日中韓副教材への疑問(その3) ページをぱらぱらめくっていくうち、第4章第2節1「東アジアの冷戦と朝鮮戦争」..
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